水害(その28)

田んぼによって水害の状態は違うわけで・・・
土砂で埋まった田んぼもあれば、
浸水して泥まみれの稲の田んぼもあれば、
浸水しても穂まで使っていない田んぼもあれば、
ほぼ、浸水していない田んぼもありました。
しなしながら、一番の問題は田んぼまでの水路(用水路)でした。
ココが埋まって水の行き来が出来ないのが、これまた稲の品質に大きく左右していました。
特に、コシヒカリの田んぼがそれに当たり、生育段階に大きく影響していたと思われます。
その被害状況によって刈り取ったお米の乾燥機(乾燥機は5台あります)を変えていました。

まずは、乾燥機ごとに分けていましたので「満足いただけるお米はないか?」を全量、モミスリ(籾殻を取る工程)するまで探していました。
結局はコシヒカリは全て3等級ということで残念な結果になりました。

次に検討会議をしました。
コシヒカリはもちろん一番人気のお米であるので、喜んで頂けないであろうお米を、「価格を下げても売るか?」「売らないか?」で検討しました。
最終結論としまして、『二十代目の米農家として、「喜んで頂けない米」は売れない』という判断をしました。
売らなかった米は取引しているコメ卸業者にお願いして安価ではありましたが買い取ってもらいました。

そして、店舗で販売するお米は「つきあかり2等米」「ひゃくまん穀1等米」だけとすることにしました。
当たり前ですが、これでは、お待ちいただいているお客さんに満足いただけない・・・し、
予定していた量が確保できていないので春前には完売が予想されます。
プロの米農家として「申し訳ない」の一言が心の中に残りました。
何度も「新米はまだですか?」の来店時の声や電話がありました。
例年であれば早生品種もあり9月1日頃から販売できる米が
本年に至っては検討していた期間も合わさって10月5日頃から「つきあかり2等米」「ひゃくまん穀1等米」だけ
販売をスタートしました。

店舗スタッフには、丁寧な説明をして接客に心がけてもらいました。大変だったと思います。
もちろん、売上うんぬんも残念な事でありますが、何度も書きましたが、「喜んで頂けるお米を届けられなかった」という現状に申し訳なさが募るのでした。【つづく】

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